来客者接待室でのレス 投稿者:当サイト管理人 投稿日: 2000年11月23日と推測される
でんでんさん、よくおいでくださいました。歓迎いたします。
脚本を書くのはむずかしくありません。映画をつくるのもむずかしくありません(金さえあれば)。
つくった映画を大ヒットさせること。邦画界の現状を見るに、まさにこれが至難の技のようでして。
映画は夢ですから、観客の大多数が見たがるような夢をそのまま映画にすれば、大受けになるはずなのですが……。
ザガンさん、お招きに応じてくださり、光栄です。
西洋の怪奇映画とくらべた日本ホラーの特徴とは、視覚的恐怖よりも心理的恐怖が濃厚に描かれることだと思います。
それは、野獣に襲われる脅威ではなく、疫病に取り憑かれる忌まわしさに近いものです。
日本ホラーのこうした個性をとことん突き詰めていけば、いずれ世界的ヒットを達成するような傑作が誕生するかもしれません。
ホッチキスさん、いらっしゃい。
なぜ、漫画原作実写映画は、迷作になってしまうのか?
理由は、いたって簡単。
日本製コミックで描きだされる世界のほとんどは、日本人が日本人であることの生理的実情を嫌悪し、かくありたしと思って、想像の領域に創りあげた逃避の場なのです。
そのように、日本人が日本人であることを認めたくなくて逃げこんだ空想の世界を、日本の俳優、日本の風景、日本の映画技術、要するに日本の現実を総動員して実写映像化したら、どうなるでしょう?
これほど日本の漫画愛好者を不愉快にさせる映画も、またとできないのではありませんか?
そうした実情が見ぬけず、「大受けのコミックだから映画で見せても大受けするだろう」……そんな具合に安直に考えて、旧態な姿勢で漫画の映画化を続ける日本の映画会社。
これはもう、レジャー産業の一員を名乗る資格なしですな。
em-keiさん、今晩は。
長大な御意見に感謝です。
おっしゃるとおりだと思います。
人の心はどこの国でも変わりありません。
当然、娯楽性の欠落した映画をつまらないと感じる人の心も、世界中どこでも変わりないわけでして、だから、日本映画は世界的に受けにくいのです。
日本映画が世界映画とならずにいるのを文化の差や人種的偏見のせいにして済ます映画人は、国内の観客すら楽しませられない自分らの仕事ぶりを、海外市場での受けの悪さを強調することで誤魔化しているだけに思えてなりません。
日本映画は、「海外では受けない」のではなく、「日本でも受けない」のです。
それが偽らざる事実なのです。
理由は、口癖のように「人の心を描く」と言いながら人が求める娯楽性をまるで盛り込めず、人の心を侮った映画つくりに徹する、日本映画人の姿勢にあります。
観客の楽しみを殺しながら、「人の心の温かさ」などとうそぶく人たちによる自己満足の心なき商品など、どこの国からも嫌われて当然でしょう。
レス、有り難うございます。 投稿者:当サイト管理人 投稿日: 2000年 月 日と推測される
>マーケットが国内市場に限定されるから作品規模とか世界観がチマチマしたものになって、エンターティメント性に欠ける――というのが私見ですが。
まったく、その通りです。
だから日本映画界は国際的な合作を進めなければ存続できなくなる、ということが主張したくて、特集を企てました。
日本映画産業がいかにヤバイ瀬戸際にあるかわかっていない人々が多すぎます。
一部のアート系作品が映画祭で認められたとしても、アンゲロプロスとかキアロスタミの名が世界に知れわたるのと同じことで、それにより、邦画界全体の財政が大いに潤うわけではありません。
興行的な不振が続いた果てに、邦画産業が滅亡してしまったら、国際的な栄誉もクソもなくなるという核心を肝に銘じておいてほしいと思うのです。
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